| 社長インタビュー |
田中青果加工株式会社社長、田中愛一郎さん
「アナログへのこだわりが、今後のビジネスチャンスを広げる!」
―21世紀を迎えて伊賀地方はどのような方向性を持って、発展していけばよいのでしょうか?
田中社長(以下T) 世界的に言えることですが、インターネットとNPO(民間非営利団体)が主流になっていくと思います。
―具体的にはどうですか?
T 今、世の中は旧来のシステムが崩れて、変革期を迎えています。恐竜の絶滅と同じ原理。隕石が落ちて、氷河期が来て恐竜が絶滅したというのが通説になっていますが、インターネットという隕石が落ちて世の中が変わりだした。近年の大企業の合併は、恐竜が体の維持のため巨大化したのと同じで、大きくならないと生き残れなくなっている。
しかし、恐竜は絶滅したけど、小さな哺乳類は生き残った。つまり、大企業は淘汰され、小さな会社や店が生き残るということです。
―なぜ、小さな会社や店が有利になるのでしょうか?
T インターネットにより消費者との接点が出来ると、メーカーや工場は残りますが、大企業の販売店や営業所は必要なくなります。しかし、配達の必要性は出てくる。だから、昔からの付き合いや配達ルートなどアナログ的な体力を持った小さな会社、店が有利になってくるのです。
―価格競争については?
T 益々、激しくなるでしょう。ネット販売が主流になると、建設費や宣伝広告費がかからなくなるので、当然、価格は安くなります。
―伊賀地方でもネット販売が主流になりますか?
T 魚のような鮮度を見て買いたいものはそうはならないでしょう。手工業品などの職人の技を要したものもそうならないと思います。デジタルに飽きて、アナログ的なものを楽しみたい人が出てくる筈ですから。そういう意味では、何の変哲もない中小都市よりも、アナログのものがたくさん残っている「伊賀上野」という「まち」の存在価値はあると思います。「伊賀」という概念で考えると、今後そこをもっとアピールしていくべきだと思います。
―次にNPOについて、わかり易く説明して下さい。
T NPOは簡単に言うとボランティアのことです。無償で、地球の為、地域の為、みんなの為に活動することで、福祉、介護、環境、まちづくりなどの活動団体があります。
―なぜ、NPOが21世紀に発展するのでしょうか?
T 結論から言うと価値観の変化です。お金儲けよりも、みんなの役に立つ生き方を選択する人が増えてくるでしょう。例をあげると、リナックスというコンピューターソフトを開発した人は、普通のサラリーマンなのですが、そのソフトを世界中の人が無償で利用できるようオープンにした。ビルゲイツのような億万長者になれたはずなのに、普通のサラリーマンであることを選んだのです。今までの価値観では考えられないことですが、みんなの役に立つことに生き甲斐を感じているのです。これがNPOです。アメリカやヨーロッパでは、NPOが環境汚染の影響を訴えると、公共事業もすぐにストップする状態です。世の中のシステムが変わってきています。資本主義や共産主義といった政治体制も関係ないのです。生き方の問題です。
―伊賀地方のNPO活動はどうでしょうか?
T あまり知られていませんが、伊賀はNPOが盛んな地域です。ウイリアム・テルズ・アップルは全国的に知られています。その理由は、全国でも数少ないNPOを支援するNPOだからです。
―最後に、21世紀に向けて一言お願いします。
T 伊賀には、あまり知られていない全国に誇れるものがたくさんあります。自分達も含め21世紀を背負って立つ世代に、もっと伊賀のことについて考えてほしいものです。これからがいろんな意味でチャンスなのですから。
| 田中愛一郎さん 上野市西町出身 上野高―大阪市立大を経て昭和51年田中青果加工株式会社入社。昭和55年社長就任。 |