| 社長インタビュー |
兜泓ム竹材店の福林市夫社長
「伝統を重んじながらも、時代のニーズに対応する柔軟性が求められている!」
―竹細工が県の伝統工芸品に認定され、御社は伝統工芸品製造事業所に指定されましたが、どのようにお考えですか?
福林氏(以下F) 伝統の灯を絶やさぬよう、今後も一層努力していかなければと、責任の重さを痛感しています。そして、これをきっかけに竹のよさを見直して頂いて、竹細工業界の活性化と後継者の育成に役立って欲しいです。
―工芸品としての竹細工の製造が主な事業なのですか?
F いいえ、現在、4人の職人さんが我社で勤めていて、その内2人は労働省の1級竹細工技能士にも認定されていますが、竹細工のような工芸品は需要が限られています。ですから、注文を受ければ対応していくという感じで、大半は竹の卸問屋としての事業が主です。竹垣などの庭園資材や、和室などに用いる建築用材、真珠やのりの養殖用の漁業用材、ビニールハウスや野菜の支柱に使う農業用材を、それぞれの業者に販売しています。
―竹は、どちらから仕入れているのですか?
F 昔は自社で木炭材の伐採人である伐子(きりこ)も抱え、地元中心に賄っていましたが、現在は、ほとんど四国、山陰、九州地方から仕入れています。特に、高知県高岡郡にしか生育しない、天然の斑点模様が入った虎竹という種類の竹は、我社が一手に販売を手がけています。
―近年の擬似竹プラスチック製品の普及の影響は?
F プラスチック製品の普及により、竹の需要はかなり落ち込みました。
―対策として、何か考えている事は?
F 今後も、プラスチックに押されて竹の需要が伸びる可能性は低いので、抵抗はありましたが、我社でもプラスチック製品を扱うことにしました。やはり、お客さんのニーズに応える事が何より大切ですから。
―「後継者の育成」と言っておられましたが、後継者不足は深刻な問題なのですか?
F 現在、我社の職人の平均年齢は60歳を超えていますが、我社だけに限らず、職人の高齢化は著しいです。竹細工の一番の産地である大分県別府市には、竹細工職人の養成所があり、毎年20人ほどの人が入ってきます。しかし、それだけで生活していける保証もないので、全員が職人としてやていくとは限らず、後継者不足は否めません。
―現在の厳しい状況を乗り越えるために、考えている事は何ですか?
F やはり現在の状況を踏まえて考えると、問屋部門の縮小、ネット販売、職人の育成、自社オリジナル製品の開発などがあげられます。問屋部門は、需要の減少もあって、採算の合わない東京方面への卸販売を縮小し、輸送コストの安い京阪神方面に力を入れていこうと思っています。竹の生かし方を考えてみると、竹刀や茶せんなど竹でないとだめなものや、プラスチック製の代替品はあっても、竹でないとと拘る人はいます。その声に応えていくためには、職人の育成が必要不可欠ですし、自社の存在価値を出すためにも、オリジナル製品の開発が必要だと思っています。また、近年環境問題が注目される中、竹は捨てるところが無いという事で、植物資源として世界的に見直されてきていますし、健康ブームにより、竹炭や竹酢も注目されてきています。竹もまだまだ捨てたものではなく、うまくブームに乗っていければ、まだまだ発展する業界だと思います。そのためにも、何より発想の転換が大切だと思っています。
| 福林市夫さん 上野市徳居町出身 上野商― 大商大―兜泓ム竹材店入社、平成元年社長就 任。全日本竹産業連合会常任理事 |
《訃報》
平成12年4月に「社長インタビュー」でお話を伺った(株)福林竹材店の福林市夫さんが、平成12年12月、癌のためお亡くなりになりました。享年57歳。ご冥福をお祈り致します。